いつのまにか実名での運営になりました!うめざわ (@sawasawa0)です。
二人目が生まれてわずか2ヶ月後に、
顧客ゼロ・収入ゼロの状態で、
無謀にも会社を辞め、自営業として独立して1年が経った。
なんとか生存できているので、現況報告をしていきたいと思います。
本エントリでは、独立した最初の1年にどんなことをしてきたのか、
時系列に、まとめていきたいなーと思います。
とても長いです。
が、もし、この文章を読んでいるあなたが、かつての私と同じように、
家族がいるのに会社を辞めて、独立してから途方にくれているのであれば、
この記事はきっと役に立つと思うので、ぜひ読んでいただきたい。
自分自身もそうでしたが、多くの独立を考える人にとっての最大の関心事は、
「独立して生計が成り立つのか」ということ
だと思っていますので、
その辺りについては赤裸々に書いていく。
もくじ
どんな仕事をしているのか
商品の説明やマニュアルなどをマンガで分かりやすく伝える
「業務用マンガ」を制作するサービスを札幌で展開しています。
みんなが「わかる!」 仕事のマンガというコンセプトで、
ビジネスにおける「伝わらない」を「伝わる」に変える活動をしています。
現在の売上について
まず現在の到達点である売上について。
月の売上で100万円の売上が見えてきた。
「見えてきた」というのは、今案件として着手している段階でまだ未請求という状態。
(できればこのエントリを書く前に達成したかった)
1年間かけて、
「どうやってお金を稼いだら良いかわからない!」状態から
「お客様との約束を守れば、一月で100万円の売上が入る!」状態になった
という感じ。
ここからはその歩みを具体的に書いていきます。
8月-9月(売上:0円)
2018年8月20日に会社を退職した。その時の記事はこれ。
記事にもあるように、
顧客も収入も全くのゼロ状態での独立は、客観的にはかなり危ないと理解していた。生まれたばかりの子どもを抱えて、夜不安で眠れない日もあった。
「自分ならできる」と自分に言い聞かせながら、現実には1円も稼いでいないことの間で揺れ動いていた。
- 1ヶ月の生活費の算出と固定費を下げる
- 年金と健康保険の手続き
年金は国民年金 + 付加年金 + 確定拠出年金
健康保険は、住んでいる自治体や家族構成によって異なるが
自分の場合国民健康保険ではなく、任意継続したほうが出費が半分になった。(大体¥25,000) - 雇用保険の手続き
ハロワで一応雇用保険の受給について問い合わせるも、やはり自営業は受給できないと言われる。 - プログラミングスクール
- 初音ミク10週年お祝いサイト 39-10th制作
- 休息と家族サービス
当面ゆっくりできないだろうということで、10日間は家族との時間にあてた。 - 液晶タブレット購入
作業時間短縮のためには購入すべきと思って決断。
高い買い物だったが、その分の効果はあった
10月(売上:0円)
まず、自分が何をしている人かを説明するものがないということで、
Webサイトやチラシを作っていった。
当時はWebサイトはTumblrで構築していた。
プログラミングスクールの成果もあり、tumblrにもかかわらず、
サムネ入り新着記事ガジェットや関連記事ガジェットを自作していた。
この頃は自分がどんな仕事でお金を稼ぐのか、
どうやったら顧客を集められるのかが分からず、手探りだった。
- Webサイトづくり
- ICCに行く
(インタークロス・クリエイティブ・センター https://www.icc-jp.com/)札幌市にはクリエイターの創業支援を行っている施設がある。
竹内宏彰氏が理事を務めており、たまに公演に来てくれる。 - 当時通っていたコワーキングスペースである、
ものづくりオフィスShare主宰のイベント図工ラボへの参戦を決める。 - Shareでやっていた起業塾の課題で、自社の事業を説明するためのフライヤー・プレゼンを作る。これが後々、自分の仕事を説明するのに役立った。
11月(売上:0円)
ICCで出会った人と仲良くなり、はじめてのフリーランス仲間ができる。
また、いろんな人にどうやって起業初期に最初のお客さんに出会ったのかを聞く。
すると異口同音に、
「異業種交流会で出会った人や紹介してもらった人経由で仕事になる」という返答。
(あまり得意じゃないけど)異業種交流会に行くべきという結論に落ち着く。
あと知人のすすめで、北海道中小企業同友会に入会する。
- フリーランス仲間ができる
- 初めて異業種交流会に行く
- 北海道の楽しい100人に参加する
- 北海道中小企業同友会に入会する
- 前職の取引先と会う
12月(売上:0円)
年末なので、あまり新規で参加しやすい異業種交流会もなく、
ただただ図工ラボの準備に追われていた。
この頃「仕事をすること」に対する恐怖があった。
他の独立したての人も似たような思いを抱えていることを知り、
下記のエントリを書いた。
年末には2018年の毎月の売上目標を立てた。
2018年8月現在、まだなんとか喰らいついている。
- 図工ラボの準備
- 2018年の月次計画立てる
1月(売上:20万円)
Facebookで友人に業務用マンガ制作事業を始めたことを明かす。
かつて、マンガを描いていることで、
他人から色々言われて嫌な思いをしたこともあり、
ある時期から、誰にもマンガを描いていることを言わないようにしていた。
新年の機会にそんな過去との決別をはかることができた。
1月上旬は、図工ラボに参加し、無事に結果を出す。
利益は多くなかったが、自分の力でゼロからお金を稼ぐ経験をする。
異業種交流会などで、色々な人に業務用マンガというコンセプトについて話す。
反応を確かめながら、ニーズがあることを確認する。
ここでサービスを打ち出す方向が定まってくる。
また、この月、知り合いのために初めて無料で仕事をする。
これによって、業務用マンガの仕事の流れを構築することができた。
だんだん「仕事をしている状態」が当たり前になっていく。
今になって思うと、
ここまでの内容は大きなターニングポイントだった。
図工ラボによって自分の力量を見極め、
初めて会う人から自分の仕事にどんなニーズがあるかを聞き出し、
無料でも実際に人に商品を売る。
自己確信 → ニーズの把握 → プロトタイプの無料販売
よく起業の教科書に書いているようなことだけど、
自分にも当てはまる王道の方法だったように思う。
さらに、後々自分に経営上のアドバイスをしてくれる先輩に出会えたことも大きかった。
- 図工ラボに参加
- 初仕事
- 地域クラウド交流会参加
- パッションリーダーズ入会
2月(売上:5-10万円)
そして2月。ついに待望の瞬間が訪れる。
初めて有償での仕事を受けることができた。
その頃は必死だったので、「心の底から嬉しい!」みたいな感じになれなかったが、今でも、その瞬間は鮮明に思い出せる。
アドバイスを受けた通り、異業種交流会で出会った人からお仕事をいただいた。
なので、私も誰かにアドバイスするなら、「異業種交流会へいけ!」ということになる。
先に書いたようにニーズの把握もできたり、人脈も増えていくので、
(そこに過剰にお金をかけなければ)参加して損はない。
また同じ頃、初めての営業失敗も経験する。
今思うと、営業の段取りが未熟で、クロージングが甘かった。
そして、もうひとつ。
この月には、神田昌典氏の札幌公演があった。
ビジネス本オタクの自分にとって、神田氏は憧れのそんな存在だった。
(もっと言うと、少しでもビジネスを好転させたくて、この頃神田氏の書籍をひたすら再読していた)
思いもがけないことに、この公演会の主宰を務めた方から、
今年でちょうど創業20週年を迎える神田氏のために、似顔絵を描いてほしいというご依頼をいただき、
当日に向けて準備してお持ちした。
自分の絵で、とても喜んでいただけたことも嬉しかったが、
神田昌典氏とまさかの握手をすることができた。
帰り道はどうやって帰ったのか覚えていない。
- 初めて有償で仕事する
- 神田昌典氏と会う
- 初めて営業で失敗する
- Webサイトを制作する
3月(売上:5-10万円)
3月。確定申告の季節。
ということで、はじめての確定申告をする。
いろいろ開業準備に使ったりしたので、サラリーマン時代の収入を相殺する赤字になった。
(ふだんからやっておけば良かったが)自分の経理のスタイルを確立できたのは、良かった。
小売業での経験上、売上・原価・経費の日常的な記録(帳簿をつけること)は、
利益を出すためにとても重要だ。
自分の商売の数字を体で覚えることが、儲けの秘訣なのである。
(この頃は大した売上はなかったが)
仕事が少しずつ取れ始め、専門外の作業を、初めてフリーランス仲間に外注をする。
あと、TumblrだとOGP対応やSSL対応に難があったため、WebサイトをWordPressに引っ越す。
8月時点で、Webからの集客はほとんどできておらず、秋以降に改善したいと思っている。
その他としては、業務用マンガ制作について、前職の上司の耳に入り呼び出しを受けたり、
一番下の妹が本州に就職して、4人兄弟で北海道に残っているのが自分だけになったり、
他のクリエイターのおうちに遊びに行って制作環境を見せてもらったり、
プログラミングスクールのお手伝いをしたり、
似顔絵のコツを教えてもらったり、経営者の先輩から夜通しで教えを受けたり
今思うと、結構色々なことがあった。
あと3月は20万円分くらいの仕事のお話をいただいたが、
お客さん事情で伸び伸びになってしまった案件が多く、未だ回収できていない売上もある。
そういうこともある。ということが分かった月でもあった。
- 確定申告
- はじめての外注
- はじめてのリピート
- WebサイトのWordPress化
4月(売上:10-20万円)
少しずつ売上が上がりはじめていた。
仕事については、今もそうだが、「お客様に120%満足してもらう」ことを目指して全力を尽くしている。
その結果として、お客様からは感謝のお言葉を頂き、それはとても良かったが、自分の中で営業することに迷いがあった。
それは、理論上、結果が出るはずの仕事をしているが、
(お客様からは結果が出たと喜びの言葉をもらうことはあった)
そこには、数字の裏付けがなかった。
自分としては、「広告にマンガを使うと反応率が変わります」と言いたいが、
「じゃあ何%?」と聞かれると、他社の事例を引き合いに出すしかなかった。
そんなときに、マンガを使ったFAXDM制作のお話を頂く。
「これでひとつ明らかな反応率の違いが数字で見える」ということで、
この制作に全力を注いでいった。
また、この頃は業務提携を結ぶお取引先が増えていた時期でもあった。
その他のトピックとしては、
アジャイル関連の書籍の読書会を主宰することになった。
(アジャイル:システム開発の手法のひとつ。トヨタ生産方式っぽい。)
それが、自分の事業にどうつながるかは、分からなかったが、
マンガ制作を産業化していく際に、アジャイルの手法から学ぶところは大きいと思っている。
今になって思うと、こういう「役に立つかどうか分からないこと」でも手を出しておくことが重要で、思いしない出会いやチャンスへ自分を連れて行ってくれることが度々あった。
また、この読書会で出会った人が、いつか一緒に働く仲間になるような予感がしている。
- 業務提携先の獲得
- 札幌のマンガ家との出逢い
- 北海道中小企業家同友会で幹事になる
- アジャイル読書会を立ち上げる
5月(売上:10-20万円)
FAXDMの結果が出た。
同時にマンガではないFAXとABテストをして、
なんと、600%の反応率を叩き出すという思った以上の結果が出た。
これにより、自分の中で商品に対する確信を持つことができた。
営業する際に「目の前の見込み客には、ぜひ買ってもらわないと向こうが損してしまう」
というマインドで話ができるようになったのは、とても良かった。
一方で、見込み客が増える量に対して、営業に行く量が伴っていないことに、
この頃はまだ気づいていなかった。
- 札幌西倫理法人会に入会する
- 営業手法の本を多読する
6月(売上:5-10万円)
売上は、低空飛行ながらそれでも前月を下回ることはなかった。
が、この月は初めて前月を下回る。
貯金がだいぶ少なくなってきており、妻と何度も話し合いをした。
人脈が増え、「業務用マンガいいね」と言ってくれる人も増えてきて、今、この仕事を降りるのはもったいないという気持ちだった。
ここで初めて、見込み客に対して、受注が少なすぎるという事実に気がつく。
ここまでで、「うまく受注できたケース」がいくつかあり、
「受注できた時、自分がした行動は何か」ということを分析するためのサンプルが十分にあった。
この分析の結果、
- アポイントから入金までのリードタイムは2-3ヶ月あること
- 毎月コンスタントに売上をあげるために、毎週2件の受注が必要であること
- どんなに見込み客の反応が良くても、受注には例外なくこちらからのアポイントが必要であること
ということがわかった。
この結果をふまえ、すべての見込み客を付箋に書き出し、作業部屋の壁に貼り出した。
そして、見込み客→アポイント→受注→納品のどの段階にあるかを見える化した。
あとは、毎週火曜日をアポを入れる日に決めて、毎週4件アポを入れるようにした。
これが、その後の好循環をもたらした。第二のターニングポイントだった。
その他には、Facebookでの投稿を増やしたり、大学生との接点が増えてきたのもこの頃。
- 成功事例の分析
- リードタイムの見直し
- 営業の見える化
- アポのルール化
- Facebook2日に1回投稿
- 大学生との人脈作り
7月(売上:40-60万円)
前職の上司から頂いた仕事のおかげで少しまとまった売上が立つ。
このおかげで、長期の仕事を受けることへの躊躇がなくなる。
営業の流れをつかみ、成功率が上がっていく一方で、
大きな企業との面会の機会が増えた際に、同じ営業方法ではいけないことに気がついた。
このあたりは、今後の課題にしていかなくてはならない。
また、仕事をマンガにこだわらなくなったのもこの頃。
マンガ制作をする上で、ビジネスの深いところまでヒアリングをしていくが、
そこで明らかになった課題について、マンガ制作以外の手段で解決することに躊躇しなくなった。
それによって仕事の幅や売上が増えていき、少しずつお金の不安から脱しはじめる。
- マンガ以外の提案も積極的にする
- マーケティングの書籍を多読する
8月(売上:60-80万円)
売上が見えてきたが、それを継続的な仕組みとして維持できるかがまだ弱い。
ここまで制作した商品の中で、特に効果があったものをフロントエンド商品からバックエンド商品に位置づけ直し、商品のラインナップとして作り込む必要があると思っている。
特に、マンガ名刺はニーズが高く価格も手頃にできるため、フロントエンド商品としてポテンシャルがあると思っている。
リアル人脈による集客は拡大していくとともに、これからはWebや他の媒体からの集客を増やしていきたい。
幸いなことに今は、たくさんのお仕事を頂いており、この2ヶ月は自分の限界まで仕事量を増やしてどこまでやれるかのチャレンジをしたい。
- 自分のビジネスモデルの見直し
9月(売上:100万円)
今、確定している案件で100万円を超えた。(9月中にすべて納品できれば100万円の売上)
今成功していると言えるか?
正直に言って、成功と言うには、まだ危険だと思っている。
1年間生き延びられたのは、それまでに貯金が十分あり(500万円くらい減った)、
妻が4月から働き始めてくれたおかげだ。
また、体が健康で、1年間あまり休まなくても仕事を継続できたことが大きい。
自分のお客様や仲間には、自営業の方もいて、
みんなのビジネスを成長する手助けをするのが、自分の仕事だと思っている。
今は、自分の実践を再現性のある形に磨いている最中で、来年は「独立したら、こうすればなんとかなる」というお話が、もっと確信を持ってできる予感はしている。
これから独立する人に向けて
去年も書いたが、
独立の王道は、先に顧客をつかみ、すでに収入がある状態で辞めることだ。
顧客がいて、人脈を持っていて、すでに仕事として実践がある状態を作ることが望ましい。
自分の歩みで言えば、5月ごろの状態、
つまり、
- 会社の外に人脈を作り、
- 初めての売上があり、
- 何度か仕事をし、
- 自分の仕事がお客様にとって明らかに役立つという確信を自分が持つに至る
この状態を、本業の収益があるうちに作ることができれば、大きな失敗はないんじゃないかと思う。
仮にそれができないうちに辞めた場合、それでも、1年くらい生活を維持していけるお金があればなんとかなるかもしれない。
貯金がなくても、実家に頼ったり、アルバイトをしたりしながら、生活の糧を確保して、チャレンジを続けていけば道は開ける。
すべきことは人脈をつくり、ニーズを確かめ、テスト販売をしながら、ニーズに合った商品を開発するサイクルを回すことだ。
学んだこと
収入はマインドと直結している
ここまで直接言及していなが、稼げるかどうかで最も大事なことがある。
それは、入ってくるお金は、自分のマインドと直結しているということだ。
こう言うと精神論のようだが、たとえば、
自分が、「自分の仕事には100万円の価値がある」と心の底から思っていないと、
その金額を顧客に提示することはできない(したとしても見透かされる)ということ。
この時系列の中で見ていくと、
最初の売上が発生したときは確かに、
「無料で売ってみて、価値がゼロ円ではないことを自分が確信できたとき」だった。
「どうすれば自分が欲しい収入を受け取るにふさわしいだけの価値を、自分の中に見いだせるか」ということを自問するプロセスは必ず踏むべき。
他人の助けを借りる
あと、もう一つ大事なことは、出会った人は意外とみんな助けてくれるということだ。
助けてくれた人たちは、例外なく「自分も独立したての頃先輩に助けてもらったから、その恩返しを君にしている」ということを言っていた。
もちろん、お金をタダで援助してくれたり、何をしたら良いか答えをくれるということではない。自分が前に向かって行動し続ける限り、そっと手を差し伸べてくれる人はたくさんいて、その人たちからの善意はありがたく受け取ろう。
一人にならなければ、きっと酷い失敗にはならない。
最大の恐怖は「失敗していることに気づけないこと」
何かをチャレンジして、失敗するのは、結果として良いことだ。
なぜなら、次の行動へ生かせるからだ。次の行動の成功率を高める。
しかし、行動しないことやふだん何気なくしていることが失敗だとしたら、気づけないままに失敗を何度も繰り返すことになる。これは、恐怖でしかない!
自分の場合「アポを取っていないこと」に気づけなかったとしたら、未だに売上は厳しかったかもしれない。もしその状態であれば、あと半年で廃業を覚悟しなければいけなかった。
まとめ
時系列にまとめたらこんなに長くなってしまった。こまめにブログに書いていけば良かった。
もし、去年の自分がこういうエントリを読んだら、少し救われたかもしれないことを思い、
思い切って公開することにした。
会社を辞めて荒波に飛び込んだ誰かの一助になればうれしい。
来年は、コンスタントに毎月稼げるようになったり、法人化したり、はじめての社員を雇ったりしたことを報告できるように励みたい。
以上。長文にお付き合いいただきありがとうございました。