2017年は仮想通貨とかブロックチェーンって耳にすること増えましたよね。いい加減きちんと理解したほうが良いと思ったので、調べてみた結果をまとめます。
sawasawa(@sawasawa0)です。全然今年のタスクが消化できてません。やばし。
前から書き溜めていて、今年中に出しておきたかった記事を放出したいと思います。
おことわり
私は、技術の専門家でも経済の専門家でもありません。
個人が調べられる範囲での考察と感想なので、本エントリのご利用は自己責任でおねがいします。
(あんまり技術の話はしていません。)
本エントリの趣旨
ブロックチェーンについて、
「次世代の基幹技術だ!」とか
「これからはブロックチェーンの時代!」とか
「ブロックチェーンを批判するやつは新技術についていけない頭の固い奴!」とか
いうような言説が目につく中で、
本当にそうかなぁ?と、懐疑的な内容になります。
ひとことで言うとこんなかんじ。
「ブロックチェーンの時代?たぶん来ないと思います。」
ブロックチェーンの仕組みについて
ブロックチェーンについて、私の理解の範囲で解説します。
下記は比較的わかりやすい記事だったので、ちゃんと知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
ブロックチェーンをざっくり乱暴に定義すると、「みんなで情報を保管する仕組み」です。
現在、多くの情報は「誰かが管理している場所」(サーバーなど)に保管されています。
たとえば、あなたのクレジットカードの取引履歴は、クレジットカード会社が管理するサーバーにおかれています。
一方で、ビットコインのような、ブロックチェーンを利用した仮想通貨の場合は、他のユーザー(一人ではない)のコンピューター上に取引履歴が保管されます。
現在の主流である「誰か」が情報を管理する方法(中央集権型)は、その「誰か」が情報を管理するためのコストが発生します。
一方で、「みんな」で情報を管理する方法(ブロックチェーン)でも、確かに情報を管理するためのコスト(マイニングによるコスト)がかかりますが、中央集権型よりも低コストに抑えることが可能です。(必ずコストが抑えられるわけではない)
ブロックチェーンは次世代の基幹技術になるのか?
では、本題です。
「ブロックチェーンは次世代の基幹技術になるのか?」という問いに対する、
現時点での私の答えは、
「少なくとも、これからあらゆるものがブロックチェーンを土台にして成立するというのは幻想」
というように思っています。
ここまでに記載したように、ブロックチェーンとは「情報を保管しておく」ための技術に過ぎません。
つまり、現在までは「誰に」情報を保管してもらうのかという選択しかありませんでした。
ブロックチェーン普及後は、上記の選択の前に、
情報は、「誰か」が保管するのか、「みんな」で保管するのかという選択をすることができるようになるということになります。
情報を保管するのが、
「誰か」(= 中央集権型)
「みんな」(= ブロックチェーン)
の選択肢から選べるようになる未来で、
もしも、後者のほうがメリットが多いのであれば、ブロックチェーンが今後全てに取って代わることになるでしょう。
しかし、どちらにも相応のメリットとデメリットがあり、その制約の中でどちらを優先するのかという選択になるのではないかと思います。
ブロックチェーンのデメリット
では、ブロックチェーンのデメリットとは何でしょうか。
ここまで見てきたように、ブロックチェーンは「みんな」で情報を保管する仕組みです。
ここで、ひとつの疑問が生ませんでしたか?
「みんな」の中に「悪い人」がいたらどうなっちゃうの?ということです。
ブロックチェーンは、この問題をクリアしたことが革命的でした。
どのようにクリアしたのかを難しい技術の話を避けて、ざっくり説明します。
- 情報を保管する際に、「みんな」= ネットワークからランダムに選んだコンピューターに、複雑な暗号を施して保存します。
- このときに別の情報の保管の履歴(=ブロック)も一緒に保存します。
- この履歴を順番に辿っていって、過去の履歴との整合性が取れていれば、改ざんされていない情報とみなします。
- 暗号を解読しながら履歴を順番にたどる作業は、膨大な計算が必要となり、悪意のある第三者からの攻撃が事実上不可能となります。
このように、「悪い人」が入ってくる前提で、それでも不正ができないような仕組みであることが、ブロックチェーンのすごいところです。
しかし、これは言い換えると、「悪い人」に不正をされないようにするために、あえて時間がかかるようにしている(信頼性と速度をトレードオフにしている)ということとなります。
実際のお店で、ビットコイン決済しようしたら何分も待たされたという話がありますが、
仕組みから考えると当然であり、技術的には、たとえコンピューターの性能が劇的に向上したとしても、今後もスピードが上がることは期待できないでしょう。(時間をかけることで、信頼性を担保しているので)
また、履歴が公開されるという性質も、好ましくない場合があると思います。
この中で、ブロックチェーンは投票でも使えるみたいな話もあるが、「誰が誰に投票したのか」という情報は非公開だったとしても、少なくとも「いつ」、「誰が投票したのか」は第三者にわかってしまう。
ネットワークの規模によっては、「誰が投票に参加していないのか」が第三者にもわかってしまうかもしれない。(これはちょっと自信がない)
仮想通貨に話を絞っても、「自企業がどの取引先にいくらのお金を支払ったのか」という情報が第三者に公開される前提で、それでも仮想通貨で決済したい企業ってどれだけあるんでしょうか、というお話だと思います。
そのほか、ブロックチェーンの短所について、下記のエントリがよくまとまっています。
ということで、ブロックチェーンにもデメリットがあるよというお話でした。
2017年時点の私の判断としては、ブロックチェーンが社会に与えるインパクトは、インターネットやiPhoneの時よりは小さくなるだろうと見積もっています。
次世代技術の中では、AIよりもインパクトは小さいでしょう。
まとめ
言いたいことをまとめると、こんな感じです。
- ブロックチェーンの強みは、中央集権ではなくネットワークそのものに信頼性を担保させること。
- ブロックチェーンの信頼性は速度とのトレードオフによって成り立っている。
- ブロックチェーンが真に有用なのは、インターネットを媒介して為される情報のやりとりにおいて、公開可能な情報を速度を犠牲にして保管するものに限定されるのではないか。少なくともそれは、仮想通貨ではない。
ブロックチェーンの長所を活かすとすれば、公開情報を保管するサービス運営を非営利団体がやる場合なんかには向いているんじゃないでしょうか。
例えば、ニュースや新聞記事の保管・Wikipwdia等の辞書・その他文化の保存等は、分散管理の方がコスト・保全性の点から相性が良いように思う。
その他にも日本の地方行政と中央行政間やEUといった複数の国家間だったり、組織間で同一のルールで情報をやり取りする場合の情報の保管・運用コストの低減には寄与すると思う。
(ネットワークへの参加者の信頼性をある程度高められると、スピードも上がる)
ビットコイン?あれ、どう見てもバブルでしょ。やめといたら?ギャンブルを楽しむ分には止めないけど。
だいたい、今の考えはこんな感じ。10年後くらいに答え合わせしてみたらどうなるかなぁ。